アキシアル方向に不要なすきまが発生する場合は?
予圧式送りねじナット ドライスピンねじ付き
アキシアルクリアランスの定義と注意点ポリマー製送りねじナットのクリアランスについて、よく質問を受けます。アキシアルクリアランスは、送りねじとナット間のすき間によって生じる、動作方向の遊びのことです。クリアランスという言葉もよく使われますが、正確な技術用語はアキシアルクリアランスです。送りねじを動かさずに、送りねじナットを軸方向に動かした移動量を表します。送りねじユニットは、その機能を維持するために最低限のクリアランスが必要です。軸方向のクリアランスが小さすぎると、送りねじナットを動かすのに必要なトルクが大きくなってしまいます。
注意点:公差によって発生するアキシアル方向のクリアランスとは別に、使用条件による影響に留意する必要があります。使用時に守らなければならない最小クリアランスは、温度および吸湿等の周辺環境、そして使用により発生する熱の影響も考慮しなければなりません。これは、使用するポリマー材質の膨張と関連し大きな影響があります。システム内のアキシアルクリアランスは、温度変動によって変化することがあるためです。
アキシアルクリアランスの低減方法正しい材質選定に加えて、予圧機構が不要なアキシアルクリアランスの低減に効果的であることが実証されています。当社のドライスピン多条ねじおよび台形ねじには、ゼロバックラッシュ、低クリアランス、予圧型、アンチバックラッシュの4種類の予圧式送りねじナットがあります。
予圧式送りねじナットの動作原理予圧式送りねじナットは、圧縮バネで2つの送りねじ部品に予圧を加えることにより、送りねじのアキシアルクリアランスを低減します。バネは、2つに分割されたナットを、送りねじ軸のプラス/マイナス方向へ押し広げます。送りねじのアキシアル荷重がバネによる予圧より小さければ、送りねじ全体のバックラッシュは最小限に抑えられます。これにより、摩耗によって生じるクリアランスも継続的に軽減できます。
医療機器への応用の可能性医療機器では、無潤滑運転と高精度が非常に重要です。低クリアランスかつ低コストの予圧式送りねじナットは、水平・垂直の両運動において、多くのメリットをもたらします。
- 無潤滑でメンテナンスフリーのためクリーンな運転
- 再調整なしで最小限のアキシアルバックラッシュ
- 精密な位置決めと送り動作
- ドライスピンのねじ形状と送りねじナットの予圧により、スムーズな走行と振動の低減
ピペットヘッドの調整やサンプル採取において、価格と技術の利点を最適に組み合わせることができます。高負荷、高温、高汚染環境下で使用する場合は、必ず標準の送りねじナットを使用してください。その理由は、負荷が高すぎると予圧機構が打ち消されてしまうからです。そのため、最大アキシアル静荷重は送りねじナットのモデルごとに規定されています。