「我々は、お客様のニーズに完全に適合させたカスタムソリューションを提供しています」ハンス=グンター・ドンジュ氏は説明します。製品設計者は、国際的企業CFSグループの主力製品である深絞り包装機「PowerPak」の開発に、責任をもって取り組んでいます。「この包装機械のデザインは、世界的に大きな話題となりました。お客様は大幅な経費削減を実現できます。」ビーデンコプフ市ヴァラウのCFS社では、主に深絞り機の開発、製造を行っています。深絞り機は、多くが食品や医薬品の包装に使われます。「我々の『ライフサイクル・パフォーマンス』という製品哲学は、食品加工産業の現在そして将来の要件を支え、コストを削減しながら性能を向上させることができます」ドンジュ氏はCFS社のコンセプトをこのように強調します。多機能、優れた適応力、コストパフォーマンスの高さ、食品安全性、環境保護が、この包装技術会社にとって重要なテーマです。これらは全製品開発の基本要件です。
対話による製品開発
サプライヤーへの要件も必然的に高くなります。 一方では、品質と納期順守が重要な要素となります。 他方、技術的協力関係も同じくらい大切です。 「我々は製品開発の初期段階からサプライヤーを巻き込み、対話を通して最適なソリューションを開発しています」製品設計者は述べます。 包装のスペシャリストであるCFS社は、イグスと長年にわたって連携してきました。 ドンジュ氏によると、「例えば、深絞り機の開発では、メンテナンスを最小限に抑え、99%の機械稼働率を確保することに焦点を当てていました。 これには適切な機械要素を使うことが求められ、開発が必要なものもありました。 」
高い機械稼働率のためのメンテナンスフリーなポリマー製ベアリング
様々な「イグリデュール」材質、「イグボール」球面ベアリング、「クシロス」ボールベアリング、「ドライリン」リニアガイドなど、イグスの摩擦特性が最適化されたポリマー製ベアリング製品は、今や新製品開発における最先端です。 例えば、安全ドアにはコストパフォーマンスに優れ汎用性の高い「イグリデュールG」やFDA準拠の「イグリデュールA180」が使われています。 耐薬品性と高温耐性に対応できる「イグリデュールX」は、製袋機の揺動機構や安全フードで強みを発揮しています。 また、低摩擦係数が特長の「イグリデュールJ」も揺動機構、あるいは垂直型のストロークで実力を発揮しています。 「そして、最後に忘れてはならないのが高性能材質の『イグリデュールZ』です。これがなければ、現在あるトグルレバーシステム全体の設計が不可能だったかもしれません」ドンジュ氏は説明します。 2年の設計期間中、多くの部品が試され、それに応じた試験がイグスの試験施設で実施されました。そして最終的には設置予定の機械上で検証されているため、運用時のパフォーマンスが保証できます。 「当初から、我々はポリマー製ベアリングのコストパフォーマンスの高さと技術特性に納得していました。 それらは経済的で、潤滑剤が全く不要、機械のメンテナンスも減らすことができます」ドンジュ氏は、いくつかのメリットを強調します。 世界中で約150台の深絞り機「PowerPak」がすでに現場で使われています。
CFSドイツ: 材質、機械、生産ライン全体
ドイツ国内、国外を合わせて6か所の生産現場で約2,000人の従業員が、お客様の包装用途に合う設計を提供しています。 「我々は、食品業界におけるパフォーマンスを重視したソリューションのスペシャリストです。 我々の製品は、包装素材から独立型機械、また主に食肉、魚介類、チーズ製品の調理、漬込、加工、包装のための製品にまで及びます」広報トップ、ビルギット・クリストマン氏は説明します。 ここでは約430人の従業員が働いています。 「弊社はお客様に、向上させたライフサイクル・パフォーマンスを提供しています。 お客様と連携しながら要望を把握し、その後個別の要望に合わせてカスタマイズしたソリューションを開発します」クリストマン氏は続けます。 深絞り機についても同様の作業が行われました。 ドンジュ氏によると「包装機械をゼロから再設計するところから始まりました。」 この機械は、性能、費用対効果、適応力、投資の確実性、衛生面に関して、水準を上げる多くのオプションを提供します。」 深絞り機はモジュラーデザインです。 「すべてのモジュラーは完全な機能単位で、必要に応じて取り換えることができます。」 このコンセプトにより、耐用期間全体にわたって機械稼働率の最大化が実現できます。
衛生的な設計: 完全無潤滑の深絞り機
温度と洗剤への耐性に加え、食品業界では衛生面を非常に重視します。 製品汚染はどんなことがあっても防止しなくてはなりません。 このような環境では、無潤滑のポリマー製ベアリングが存在感を示します。 これらは汚れ、油、湿気、アルカリ、酸への耐性があります。 深絞り機のベアリングは、調整、位置決め、回転、ガイドに関するすべての機能箇所に使われています。 それらはメンテナンスフリーで堅牢かつ薬品への耐性があります。 刺激性の強い洗剤を使った洗浄にも耐えます。 「グリースは細菌の温床となり、機械のあらゆるパーツへと細菌を広めてしまう可能性があります。 これは極めて危険です」ドンジュ氏は説明します。 「我々の深絞り機は、全体がグリースなしで作動する世界で唯一の機械です。 いずれのベアリング箇所も潤滑剤は不要です。 」
高荷重条件とサイクルタイムの両立を実現。
この包装機械のデザインの特長は、成形ユニットと製袋機で使われている新開発のトグルレバーシステムです。 これは、「ドライリン」リニアガイドが支持するメインのガイド軸に統合されています。 トグルレバーのベアリング部分には、「イグリデュールZ」高負荷用材質が使用されています。 設備全体の大きさに応じて、複数のトグルレバーシステムを使うことが可能です。 成形ユニットでは、最大10トンにもなる極めて高い圧力や力が生じます。 製袋機では、密封力が要求されます。 このような箇所のベアリングは、最大45MPaの静荷重に対応できるよう設計されています。 また、どちらのアプリケーションも高サイクルで稼働します。 通常、2~3本のシャフト上で週に6日間、1分間に最大30サイクルで稼働しています。 「ポリマー製ベアリングは、これらの高い圧力や高頻度に対応できなければなりません」ドンジュ氏は強調します。 CFS社では、トグルレバーに従来型の転がり軸受を使うことは考えませんでした。 「転がり軸受は常に手作業で潤滑剤を差さなければならず、製品汚染のリスクが高まります。 また、自動潤滑システムの設置はコストを引き上げます」製品設計者は説明します。 無潤滑のポリマー製ベアリングは、導入してすぐにその実力を発揮しました。 レバーシステムは、全く問題なく機能しています。 メンテナンス回数も大幅に減り、費用の観点からも良い効果が出ていることが、サービス担当者によって確認されています。
ポリマー製ボールベアリング: 長期間のテストによる信頼性
イグスの新製品が、フィルムのガイド機構で実力を発揮しています。 このアプリケーションには、「クシロス」ポリマー製ボールベアリングが使われています。